耐震見学会.その2
Fさま邸耐震改修工事
A 概要説明
今回リフォームさせていただいたのは、S40年(第1期-木造)、S50年(第2期-木造)、H2年(第3期-鉄骨造)と計3回にわけて建てられたお宅です。 (木造部分の床面積 約130㎡)(家族構成2名)
リフォームを行う際、施主さまの最重要ポイントが「耐震補強」であったことから、この耐震改修補助金制度を利用するようおすすめしました。更に射水市では耐震改修と同時に行うリフォーム補助金制度があり、100万円+30万円=計130万円の補助金額となりました。
B 耐震診断結果
- ①
- 2階X方向・・・0.57 (倒壊する可能性が高い)
- ②
- 2階Y方向・・・0.32 (倒壊する可能性が高い)
- ③
- 1階X方向・・・0.35 (倒壊する可能性が高い)
- ④
- 1階Y方向・・・0.17 (倒壊する可能性が高い)
総合評価 0.17(上部構造評点のうち最小の値)・・・×倒壊する可能性が高い
Ⅽ 耐震改修の考え方
部分改修ではなく、建物全体の耐震化をめざす!
施主さまは、ご夫婦お二人でお住まいで、工事期間中は住み慣れた家を出来れば離れたくないとのご希望により、今回は工程を2期に分けました。近くには子供さま方ご家族がお住まいで、頻繫に行き来していらっしゃいます。特定の部屋だけの耐震ではせっかくの補強工事も不十分になってしまう恐れがあるため、建物全体の耐震補強をめざし、建物全体(1階+2階)を総合判定1.0以上とする方法を採用しました。
Ⅾ 施工上のポイント、特徴
- ①
- スジカイ工法による補強(1階で20ヶ所、2階で17ヶ所・・・計37ヶ所)
実物大の骨組み破壊試験を行い、そのデータ結果を基に弱点部分にひと工夫を加えることでスジカイ工法であっても、合板や面材での補強方法に負けない「強い耐力壁」を実現しました。(合板を外部に張る工法は、湿気・通気・壁内結露の面で不安か???) - ②
- 建物の軽量化・・・屋根の一部を重たい瓦屋根から軽いトタン屋根に変更しました。また軒裏、ハフ、ハナカクシのモルタル塗り仕上げを解体撤去し、軽いカラートタン張りに変更しました。
E 耐震補強計画後
- ①
- 2階X方向・・・1.03 (一応倒壊しない)
- ②
- 2階Y方向・・・1.00 (一応倒壊しない)
- ③
- 1階X方向・・・1.11 (一応倒壊しない)
- ④
- 1階Y方向・・・1.00 (一応倒壊しない)
総合評価 1.00(上部構造評点のうち最小の値)・・・○一応倒壊しない
F ワンポイントアドバイス(過去4件耐震改修した経験から)
- ①
- なるべく総2階建てに近い間取り(形状割増係数)
- ②
- 減築(下屋部分が不利・・・富山特有の和室2間続き+縁側)
- ③
- 基礎が強い(健全な布基礎)
- ④
- 今後、屋根葺き替えの計画があれば・・・(重い瓦から軽いトタン屋根に)
- ⑤
- なるべく昭和56年に近いほうが・・・(金物は無いが、筋交は存在する1階Ⅹ方向)
G 耐震補強工事に対しての弊社の取組み
- ①
- 「住み慣れた、愛着のある我が家」を尊重し、耐震後も快適に住み続けられるような家つくり (車庫を無くせば、耐震化は簡単ですが・・・。)
- ②
- 家族構成の変化に伴って、使わなくなった部屋や古い部分を思い切って減築し、耐震 計画上有利になるゾーニング・動線の提案
- ③
- 古いお宅を改修することで、伝統的な在来工法の大工技術の継承
H、気になる実際の工事費は??
耐震見学会.その2
すまいに関する見学会・勉強会
- 日時:
- 10月25日(水)
- 内容:
- 耐震改修工事現場見学会〜頻発する地震災害に備えて〜
設計者等による工事内容の説明、件担当者による助成制度の説明など。
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